研究課題
1.グルタチオンを用いたホウ素化合物代謝の修飾の検討を引き続き行った。担癌ラット(フィッシャー344)腹腔内にBSOを5mmol/kg投与し、腫瘍・組織内GSHを経時的に測定した。同様に、尾静脈よりBorocaptate Sodium(BSH)を100mg/kg投与し、腫瘍・組織内GSHの経時変化を測定した。BSH添加後、各組織中のグルタチオン濃度は上昇傾向を示した。またBSO添付によって組織中グルタチオン濃度は低下する傾向を示した。さらに72時間までの長時間の検討を行い、BSO投与によってホウ素化合物の代謝修飾が可能であることが示唆された。2.ホウ素ペプチドの新規合成を行った。新規にホウ素含有Lipopeptide(PBL)をデザインした。今回あらたに合成した化合物2種(A,B)は、いずれも、親水性で、細胞毒性がひくい。Aは細胞膜通過ドメインをもつことで、機能性liposomeの組成となることを目標とし、Bは、BSHを骨格にもつことでBSHの血液滞留性、腫瘍選択性を高める試みを行った。いずれも、TOF-MSおよびHPLCで高純度、高収率の合成が可能であった。これを用いたホウ素含有LiposomeをPBLの濃度を変えて作製した。Aを組成に加えたLiposomeは、細胞内導入効率の向上を認めたが、細胞選択性がなく、また動物において急性毒性を示した。Bを用いたLiposomeは、粒子径は100nm前後を示し、ゼータ電位はPBLの修飾率に関係なく、アニオンを示した。この結果、PBLによるliposome形成への影響は低く、PBLの高密度修飾が可能であった。これを細胞に投与した。BSH同様に低毒性であることが示された。粒子径によるpassive targeting effectを持つことが期待され、血液滞留性の註明のためのスケールアップ合成を行っている。
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Appl Radiat Isot
巻: 69 ページ: 1790-1792
10.1016/j.apradiso.2011.03.049
巻: 69 ページ: 1819-1822
10.1016/j.apradiso.2011.04.031