研究概要 |
虚血性神経細胞死のメカニズムについては多くの研究成果が集積され有効な治療法が数多く報告されている。しかし障害を受けた神経細胞に特異的に治療薬を供給する方法は報告が見られない。また我々は以前にアルツハイマー病の原因の一つであるタウ因子の過剰リン酸化が虚血後の神経細胞死の原因となっている事を明らかにし、このリン酸化を抑制する事で神経細胞死を抑制できる事を報告した。今回は脳虚血後の障害を受けた神経細胞へ細胞死を防ぐ分子としてリン酸化されないタウ因子を特異的に導入する方法を研究する目的で以下の研究を行った。 リン酸化を受けない遺伝子改変タウ因子を虚血性障害を受けた神経細胞内に特異的に取り込まれるようにするためにアポーE蛋白と遺伝子改変タウ因子を融合させ、その蛋白を以下のごとく作製した 1. ヒトApoE遺伝子 2. 脱リン酸化型ヒトタウ因子遺伝子(hTAU40d)) human Tau-40(199/202セリンをアラニンに変換済み)、これらの加え141,307,324番目セリン、173番目スレオニンを更にアラニンに変換し、細胞死抑制効果の高いことが期待される新たなhTAU40dを作製した。 上記2遺伝子を融合させ、発現ベクターpSMRTac-3Nに組み込んだ。 E.Coli ; 10GF ELITEにtransformationを行い現在IPTGにによるタンパク質合成誘導を行いSoftagアガロース結合型抗体カラムにて蛋白精製中である。 今後この蛋白を実験的脳虚血作成ラットに投与し神経細胞障害の程度を評価する予定である。
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