研究概要 |
本研究は、ラット心肺停止モデルを用いて、全脳虚血に対する骨髄幹細胞による細胞治療の効果を検討するものである。 昨年度は、心肺停止-蘇生後脳症のモデル作成と評価方法を確立し、心肺停止後の-蘇生後脳の状態を、動物実験用MRIを用いてMRS機能で代謝を測定したり、アポトーシスの観点から組織学的に解析した。また、これらの変化が、骨髄幹細胞の静脈内投与治療によって著明に改善することが判明した。 本年度は、細胞治療の最適条件の決定を行うべく、投与細胞数や投与時期を変化させて検討を加えた。移植細胞数は、1x10^4~10^7個とし、投与時間は蘇生直後から7日後までを検討した。治療効果の評価として、MRI撮影を、蘇生直後、1、6、12、24時間後、3、5、7、14、21、28日後とした。アポトーシスの検出は、蘇生直後、1、3、5、7、14日後とした。その結果、1x10^6個を可及的速やかに投与することが最適との結果が得られた。 また、来年度、幹細胞治療効果のメカニズムを解析を行う予定であり、そのために、MRSに加え、fMRIによる脳機能の経時的評価をリアルタイムで行えるシステムの構築を試みた。さらに、遺伝子組換え細胞の投与実験を行うために、BDNF,GDNF,PLGFなどの治療遺伝子を組み込むためのベクター調整を行った。 以上のように、補助金は当初の研究目的および研究実施計画にそって補助条件に従って、非常に有効に使用されている。
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