間葉系マーカーであるPRX1、PRX2の転写開始点近傍の配列を種間で解析し、保存率の高い近位3kbの配列をルシフェラーゼレポーターベクターに組み込み、未分化間葉系組織での発現が知られている複数の転写因子による活性化をルシフェラーゼアッセイにて検討したところ、PRX1、PRX2ともにNFkBシグナルの主な転写因子であるRELAによって強力に活性化された。またCREB/ATFファミリー分子はPRX1プロモーターを選択的に強力に活性化し、KLFファミリー分子はPRX2プロモーターを選択的に強力に活性化することが判明した。また我々が独自に樹立したマウスiPS細胞をレチノイン酸などを用いた古典的な手法で間葉系分化させたところ、PRX1、PRX2の発現は経時的に増加したが、これらの新たに同定された転写因子も同様に発現が増加していることが明らかとなった。次年度にこれらの転写因子群をES細胞・iPS細胞に導入すべく、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターを作成した。またこれらの転写因子群のPRX1、PRX2プロモーター上の応答領域を順次探索する作業を継続しており、年度末の時点で100bp未満のレベルまで絞り込むことができた。またこれらエンハンサーとは別に基本プロモーター領域の範囲も実験的に確認済みで、これらと蛍光蛋白を接合した蛍光レポーターカセットの作成も開始している。
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