骨粗鬆症などの代謝性骨疾患発症メカニズムの分子レベルでの解明と治療薬の開発を目指し、破骨細胞分化のメカニズムをタンパク質レベルで解明することを研究目的とした。とくにタンパク質のリン酸化、脱リン酸化は細胞内シグナル伝達において極めて重要な反応であり、これらのリン酸化シグナル伝達機構の網羅的解析は分化のメカニズムの全貌を知る上で必須である。リン酸化シグナル経路で制御される重要なタンパク質をプロテオーム解析法により同定し、その機能解析を行うことを目標とした。 マウス破骨細胞前駆細胞(マウス骨髄マクロファージ)を可溶性破骨細胞分化因子((sRANKL)により刺激後24時間、48時間、72時間とコントロール細胞(0時間)をそれぞれ2次元電気泳動用の溶解液に溶解し、細胞溶解液を調製した。各溶解液を2分し、2次元電気泳動ゲル2枚に泳動後、一方を蛍光染色(SyproRuby染色)し、その他をProQ Diamond (Molecular Probe社)によりリン酸化タンパク質を染色した。各ゲルについては蛍光イメージスキャナーで画像を保存し、PDQuestソフトウェアを用いて解析し、シグナルの検出強度及び泳動位置が経時的に変化したスポットを特定した。ProQ Diamond染色ゲルのパターンとSyproRuby染色ゲルのパターンを比較しSyproRuby染色ゲル上の対応するスポットを切り出し、トリプシン消化後、ペプチドとして回収し、質量分析法によってタンパク質を同定した。同定されたタンパク質の中にはリン酸化シグナル伝達に関与すると思われるタンパク質が含まれていた。これらのタンパク質については今後、リン酸化部位の同定を行い、リン酸化およびタンパク質の発現に関して、破骨細胞分化への影響を検討する。
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