研究概要 |
当該研究は当該年度は、クラシカル培地(牛血清を使用した従来の培地)と近年,市販され始めたヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)用の無血清培地もしくは低血清培地を用い、従来のクラシカル培地とそれら新規培地の比較を行い,血清を用いた培養法に代わるべき移植方法の創出を目的としている.当該年度は、クラシカル培地の培養条件に従い,hMSCsを無血清培地もしくは低血清培地で培養し低密度および高密度で細胞を播いた際の増殖能,コロニー形成能,骨,脂肪細胞への分化能を調べた.細胞の増殖能はバイオステーションシステム(NIKON)を用い,経時的イメージを撮影した.コロニー形成能は,10-cmのプラスチックプレートに100個の細胞を播き,上記培地により3週間培養した後に形成されるコロニーを計数した.骨,脂肪細胞への分化能は,上記培地により培養した細胞を分化用試薬(Invirtogen)に交換しマニュアルに従い行った.骨はカルシウム形成,脂肪は脂肪滴形成を指標し行った. 既存のクラシカル培地の低密度培養法に従って無血清培地,低血清培地により培養したところhMSCsはクラシカル培地の1/10程度の増殖能であった.また高密度においても細胞の培養は極めて悪かった.コロニー形成および分化能に対しても同様の結果が得られた.この結果,無血清培地,低血清培地での培養下ではhMSCsの性質,特に接着能が変化することが明らかとなった.次年度はさらに,無血清培地,低血清培地で推奨されるプレートのコーティングを行いこれらを比較するほか,FACSにより表面抗原の違いを調べる.さらに,動物への移植後の組織生着性を調べる.
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