研究概要 |
昨年度の研究により,申請者は,クラシカル培地(牛血清を使用した従来の培地)と比較し,無血清培地もしくは低血清培地は,骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)の特徴とされる非コーティングプレートおよび低密度での培養が極めて困難であるとの結果を得た.そこで,本年度は無血清培地で推奨されるコーティング剤(Cellstat, Invirtogen)を用い細胞培養し,た.その結果,無血清培地のhMSCs接着性は改善し細胞増殖能は,クラシカル培地や低血清培地より極めてよかった.さらに無血清培地で培養した細胞の骨および脂肪細胞への分化能は保持されていた.一方,クラシカル培地で培養したhMSCsをマウスの脊髄に移植し,hMSCsの動態をhAluのPCR法および蛍光標識した細胞により組織化学的手法により明らかにした. hMSCs(5x10^5 cells/0.5μL)にて脊髄損傷部の一椎体尾側側に移植し,最大7日間観察した.移植直後には移植部位にクラスター上に認められた蛍光標識が7日後には損傷部位へホーミングしている組織像が認められた.それらの蛍光陽性細胞はヒトマクログロブリン抗体と共染され,hMSCsの存在が確認された.これら動物よりgenomic DNAを単離しhAluのPCR法を行った.約3.5x10^5 cellsが移植直後に脊髄内に観察されたが,7日後には約5000cellsまで減少した.現在,異なる培養条件下の細胞を用い,移植後の生着を比較検討している.
|