研究課題
1) 腹臥位での脊椎手術におけるプロポフォール麻酔とセボフルラン麻酔下での眼圧変化を検討した。対象は腹臥位での予定脊椎手術症例21例で、そのうちプロポフォール群は11例、セボフルラン群は10例であった。手持ち式眼圧測定器トノペンを用いて(1) 麻酔導入後(仰臥位)、(2) 腹臥位5分後、(3) 腹臥位60分後、(4) 腹臥位120分後、(5) 手術終了直後(仰臥位)に眼圧を測定した。結果は、両群とも眼圧測定ポイント(1)と比較すると(2)~(5)のポイントで有意な眼圧の上昇を認め、異常眼圧値(20mmHg以上)までの上昇を示した症例はプロポフォール群で91%、セボフルラン群で90%であった。しかし、両群問での眼圧には有意な差は認めなかった。両群間での検討は症例数が少ないため、さらに症例数を増やし再検討する必要がある。しかし麻酔方法に関わらず腹臥位になることで眼圧が異常に上昇することは、眼血液灌流低下を引き起こし虚説性視神経炎に至る可能性があるため注意を要する。2) 心臓血管手術における眼合併症についての検討をした。予定心臓血管手術51例を対象とし、術前と術後退院前に眼科検査(視野、眼底、眼圧、視力)と高次脳機能検査(長谷川式痴呆検査、Grooved pegboard、Benton視覚記銘試験)を施行した。結果は、51例のうち3例で無症候性の視野欠損を認め、その3例とも術前に比べて退院時に高次脳機能の低下を認めた。今回の検討では、心臓血管手術後の眼障害発生率は5.9%であった。今後さらに症例数を増やし、術後眼合併症発生の周術期因子を分析する必要がある。
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