研究課題
1) 人工心肺併用した心臓手術(on pump群)と人工心肺を併用しない心臓手術(off pump群)での眼圧の変化を検討した。方法は、on pump群の35症例とoff pump群の11症例を対象として、術中の眼圧をトノペンを用いて測定した。測定ポイントは、以下の5ポイントである。on pump群では(1)麻酔導入後30分(コントロール)、(2)人工心肺直前、(3)人工心肺開始後60分、(4)人工心肺終了直前、(5)手術終了時、off pump群では(1)麻酔導入後30分(コントロール)、(2)冠動脈吻合前、(3)左前下行枝冠動脈吻合中、(4)回旋枝または右冠動脈吻合中(頭部低位)、(5)手術終了時に眼圧測定を行った。結果は、on pump群ではポイント(3)と(4)で有意な眼圧低下を認め、ポイント(5)でコントロール値(ポイント(1))と同じレベルに戻った。またoff pump群では、頭部低位のポイント(4)のみで有意な眼圧上昇を認めた。結論として、心臓手術では、人工心肺中には眼圧は有意に低下し、人工心肺を用いない症例での頭部低位状態では眼圧が有意に上昇することが示された。2) 人工心肺を併用した心臓手術中に眼循環モニタリングを行った。モニタリング方法は、超音波ドプラ法による眼動脈血流速度測定、レーザースペックル法により眼底血流測定を行った。なお、レーザースペックル法とは、眼底をレーザー照射することで得られる反射散乱光を血流の二次元マップとしてリアルタイムに画像化して血流の相対値を測定する方法である。結果は、超音波ドプラ法では低灌流時には眼動脈の同定が困難で眼血流速度モニタリングができないことがあったが、レーザースペックル法では低灌流時にも眼底血流モニタリングが可能であった。術後視機能障害発生リスクのある手術での眼循環モニタリングとして、レーザースペックル法による眼底血流モニタリングも有用かもしれない。
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Journal of anesthesia
巻: 24 ページ: 663-668
臨床麻酔
巻: 34 ページ: 1119-1124