研究課題
1)人工心肺を併用した心臓血管術を予定された71症例の術後視機能障害を調査した。方法は、手術前と術後4週間に7項目の視機能検査(眼底検査、視野検査、視力検査、色覚検査、動眼検査、眼圧検査、臨界融合周波数検査)を行った。結果は、1症例が術後の視機能検査を行うことが出来なかったので除外され、70症例で分析した。70症例のうち16症例で脳分離循環を必要とする大動脈置換術であった。70症例のうち8症例(11.4%)で術後視機能障害(視野欠損、視力低下、眼圧上昇)を認めた。視機能障害が認められた8症例のうち1症例(1.4%)は症候性で、7症例(10.0%)は無症候性であった。2)人工心肺を併用した心臓手術中に眼循環モニタリングを行った。モニタリング方法は、超音波ドプラ法による眼動脈血流速度測定、レーザースペックル法により眼底血流測定を行った。なお、レーザースペックル法とは、眼底をレーザー照射することで得られる反射散乱光を血流の二次元マップとしてリアルタイムに画像化して血流の相対値を測定する方法である。結果は、超音波ドプラ法では低灌流時には眼動脈の同定が困難で眼血流速度モニタリングができないことがあったが、レーザースペックル法では低灌流時にも眼底血流モニタリングが可能であった。術後視機能障害発生リスクのある手術での眼循環モニタリングとして、レーザースペックル法による眼底血流モニタリングも有用かもしれない。
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