研究課題
本年度も高血圧感受性ラットに対しを、高食塩食で飼育し、下部尿路機能をモニターしてメタボリック症候群、特に高血圧と下部尿路症状との因果関係を解析した。対照として食塩抵抗性ラットを使用した。その結果、2週の時点で対照に比べ20-30mmHgの血圧上昇がみられた。このラットに飲水制限して膀胱機能をモニターすると、10週後1回排尿量の減少が認められた。またinactive periodにおける尿量の増加がみられ、尿産生の日内リズムが変化していることが確認された。性機能については現在測定中である。また、新たなメタボリック症候群のモデルとしてOLETE(Otsuka-Evans Tokushima Fatty)を採用し、排尿回数や1日尿量をモニターした。その結果、24週齢から排尿筋過活動を認め、ex vivoでの膀胱伸展による膀胱上皮由来ATP/PGE2の上昇がみられた。さらに56週齢では尿中の酸化ストレスマーカーである8-OHdGの有意な上昇も観察された。したがって、メタボリック症候群における、膀胱局所の酸化ストレス(恐らく膀胱虚血による)が膀胱上皮からATP/PGE2などのメデイエーターを介して知覚求心路を刺激し、下部尿路症状(LUTS)の蓄尿症状をもたらすものと推測された。高血圧症のような生活習慣病は一度ドミノ倒しが進んだ後に進展を抑制するのはなかなか困難とされており、より上流の時点で発症を抑制するのが望ましいと考えられている。アンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を適切なタイミングで(すなわちcritical periodで)一時的に投与して高血圧を予防した時、その後膀胱で生じる機能変化についても解析した。オルメサルタンを持続投与すると、膀胱上皮由来NGF/PGE2の放出抑制が認められた。このことはメタボリック症候群の改善がLUTSを予防できる可能性を示唆するものと考える。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件)
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