研究課題
女性混合性尿失禁、男性の前立腺肥大症、下部尿路の虚血(再還流)、加齢、炎症といった病態において尿道はその蓄尿症状を発生、もしくは修飾している可能性がある。また蓄尿症状は尿道上皮由来mediatorを介している可能性もある。今年度、尿道上皮由来mediatorをモニターする目的で新しい実験系を構築した。ハロセン麻酔下でラット下腹部正中切開を行い、膀胱を露出。三角部から尿道括約筋までを閉鎖腔として膀胱側と尿道側にカテーテルを装着した。膀胱側よりKrebs液150μLで尿道を潅流した(control)後、尿道側カテーテルを閉塞させ、再び150μL注入して尿道拡張を起こした。Krebs液を回収し、ATP濃度やPGE_2濃度をluciferin-luciferase法ならびにELISA法にて測定した。ラットの尿道上皮を伸展することで上皮から放出されるATP、PGE_2は正常の10倍以上であることを確認し、尿道上皮の伸展あるいは侵害刺激がこれらmediatorを介して排尿反射を惹起する可能性は十分にあると考えられた。また、現在COX-1/2 inhibitor、prostaglandin受容体であるEP1~4 antagonist、adrenalin受容体であるα1A/B/Dの遮断薬のmediator放出に対する影響を解析している。とくにCOX inhibitorはPGE_2のみならずATPの放出抑制効果も有しており、尿路上皮においては、ATPとPGE_2は相互に放出を促進していることが解明された。α1A遮断薬はATPとPGE_2放出に影響を与えなかった。
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J Urol 183
ページ: 786-792
泌尿器外科 22
ページ: 1067-1068