研究課題
昨年までの研究で、超音波による薬物送達率向上の最も大きな課題は、超音波による組織破壊と薬物送達のバランスをどのように改善するかであることが分かった。特に、超音波照射術後に炎症が発生して、そのために薬物送達部位での効果的な薬物効果が得られない。そこで、本年はnon-steroidal anti-inflammatory drug (NSAID)の影響を調べた。ラットのレーザー血管新生モデルを使った。また培養網膜細胞を用いてNSAIDの効果を見たところ、抗酸化蛋白Nrf2とHeme oxygenase-1の発現が有意に亢進した。過酸化水素誘発アポトーシスをNSAIDは有意に抑制した。Heme-oxygenase-1抑制薬を用いると、この効果は消失した。In vivo実験では、NSAID点眼により、光凝固後のアポトーシスの抑制、新生血管の抑制、マクロファージ浸潤数の減少(ED1による評価)がおこった。Heme oxygenase-1特異的抑制薬SnMPにより、これらの効果は全て抑制された。また、レーザー照射後に硝子体液中に血管内皮増殖因子(VEGF)の蛋白量が上昇するが、この上昇が有意に抑制された。このことから、超音波治療の組織破壊抑制および炎症抑制にNSAIDが有効である可能性が示唆された。特に今回用いたNSAIDは臨床で既に使用されているものであり、臨床応用可能であることがわかった。この結果は現在欧文誌に投稿中である。
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