研究課題
本年度は、ナノバブルの影響を捉えるために、最適な細胞培養系を確立した。培養細胞に遺伝子を導入しても、in vivoの細胞反応と大きく異なる点が問題となってきたが、原因は不明であった。我々は、遺伝子導入方法よりも、その適切な評価系が重要であると考えた。特に、プラスチック細胞培養皿上で培養した場合、炎症性分子の分泌が極端に増加することや、それによりアポトーシスがおこる。そこで、眼内で最も重要な網膜色素上皮細胞をBoyden chamberに特殊な加工をした条件で培養した。その結果、プラスチック培養皿では不可能であった血管内皮増殖因子の極性分泌などが初めて再現できた。この培養系を用いて、通常の培養系で証明されたよりも網膜色素上皮細胞バリアの分子透過選択性が極めて高いこと、炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子の細胞内シグナル伝達系がc-Jun優位であり、NfKBは極めて強く抑制されていることを見出した。超音波などの、炎症を起こす外的刺激に対して、通常培養系の細胞は、極めて敏感に反応したために、条件設定が難しかった。しかし、現実にはそのようなことは稀にしか起こらない。ただしepithelial mesenchymal transitionを人為的に起こすと、容易に起きる。このことから、超音波により遺伝子導入は、細胞のepithelial mesenchymal transitionをおこさないようにすれば、安定的に遺伝子導入が可能であることが分かった。
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