研究概要 |
マウスおよびヒト線維芽細胞を継代を繰り返し、細胞増殖能を減少させた。10継代ごとに、タンパク、RNAを採取し-80℃で保存した。各継代ごとに、細胞の倍加時間を測定した。保存しておいたサンプルより各種遺伝子発現をmRNAをreal time PCRで調べた。老化し、分裂速度が減少した後に、住友ベークライト社製のスミロンセルタイトXを用いて、細胞を非接着培養に移し、細胞の凝集塊を形成させる。この際は、Skin derived precursorsの培養と同様の、bFGF(40ng/ml),EGF(20ng/ml)添加HamF-12を用いる。非接着培養を開始した後、1週、2週、3週、1か月、2か月、3か月の段階で培養した細胞細胞凝集塊を回収し、同様に各種タンパクと遺伝子発現を検討した。それぞれ再び細胞凝集塊を単一の細胞に酵素処理により浮遊させ、接着培養により細胞増殖能が増加するか否かを調べた。非接着、接着培養の繰り返しを行い、完全に分裂しなくなるまでの分裂回数を測定した。その結果、細胞が凝集塊を形成することで、細胞の倍加時間は促進されたが、初代培養程度までは復活しなかった。この現象は、酵素処理による細胞の単一化を繰り返しても同様に認めることができた。遺伝子発現では、幹細胞で多く発現されているCD133の増加が認められた。凝集塊と老化、幹細胞がそれぞれに関与する結果で、今後の展開が期待される研究成果である。
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