研究概要 |
研究代表者は骨由来培養細胞の基質破壊酵素産生にTNFαなどの炎症性サイトカインが関連しており,その遺伝子発現にNF-kBなどの転写因子が関与していることを確認している.そこで,臨床応用にむけて導入条件の完全な確立や導入効果の解析を行い,再現性について確認した. 関節由来細胞における炎症性サイトカインの基質破壊酵素産生に与える影響を検討するために以下の検討を行った.関節由来細胞を分離培養し,TNFα刺激によりuPAや剛P-1の発現量の変化を検討すると,TNFαの濃度に依存性してuPAおよびMMP-1のmRNA発現が亢進した.また,おとり遺伝子戦略のためには標的転写因子の選択が重要であるが,関節細胞はTNFα共存下でNF-kBの活性化がみられる事をバンドシフトアッセイにより確認した. 本戦略には実際の生体組織においておとり遺伝子療法の標的分子が生理活性を示している事が原則になる.そこで,ヒト顎関節頭組織におけるTNFα,uPAおよびMMP-1の局在を免疫組織化学染色により検索したところ,いずれも軟骨細胞の周囲基質に局在しており,生体内において密接な相互作用を示している可能性が示唆された.この組織中の基質破壊酵素が生理活性を示しているのか観察するために,組織中の基質破壊活性をin situ zymographyにより解析した.
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