研究課題
本研究では、口腔粘膜におけるエキソサイトーシスの役割、特に歯肉上皮細胞のエキソサイトーシスについてその詳細を明らかにするとともに、機能性ナノバイオカプセルを用いたエキソサイトーシス制御を基盤とした新しい歯周病予防、治療法の可能性について検討することを目的とする。本年度は、昨年明らかになったRba5とその結合タンパク質の歯肉上皮細胞における役割を検討した。歯周病の炎症病態を再現するため、培養歯肉上皮細胞(Ca9-22細胞)を炎症性サイトカインの一種であるTNF-αで刺激した。その後、Porphyomonas gingivalis生菌を添加し、その細胞内侵入の程度を検討した。その結果、Ca9-22細胞へのP. gingivalisの侵入は、TNF-α刺激によって有意に増加した。また、刺激によって有意に増加した。Ca9-22細胞はTNF-α刺激した際、ICAM-1発現の増加を認め、Rab5、 ICAM-1、及びP. gingivalisの共局在を認めた。さらに、活性型Rab5を強制発現させたCa9-22細胞では、P. gingivalisの細胞内侵入が有意に増加することが明らかになった。歯周病においてTNF-α等の炎症性サイトカインの産生により、歯肉上皮細胞が活性化され、ICAM-1の発現が促進される。発現したICAM-1にP. ginigivalisが結合した後、Rab5が関連する細胞内輸送機構を介して侵入されることが示唆される。加えて、同機構から何らかの過程で逃れたP. gingivalisは歯肉上皮細胞内に留まることで持続感染し、歯周病の難治化を引き起こす可能性が推測された。今後、Rab5およびその結合分子を標的とした細胞な輸送制御の可能性について、さらに検討していく予定である。
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Tissue Eng Part A
巻: (印刷中)
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http://www.nils.go.jp/department/odr/index.html