研究課題/領域番号 |
21659437
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40292221)
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研究分担者 |
島内 英俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70187425)
金谷 聡介 東北大学, 病院, 医員 (80375097)
多田 浩之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (70431632)
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キーワード | 象牙質 / 細胞外カルシウム / 細胞外リン酸 / ヒト歯髄細胞 / ヒト歯根膜細胞 |
研究概要 |
高い予知性を持った露出した歯髄に対する象牙質再生法の確立は歯内療法における大きな目標の一つである。象牙質の再生には象牙芽細胞によるその形成が必要であるが、近年強力な骨形成促進作用を持つBMP-2が象牙芽細胞の分化を調節することが明らかとされた。これまでの我々の研究において、ヒト歯髄細胞を10mM細胞外カルシウムあるいは3mM細胞外リン酸で刺激するとMAPKファミリー分子であるERK依存的にBMP-2mRNA発現の増強されることを明らかにしてきた。本年度においてはヒト歯根膜組織由来細胞においても同様の反応系が存在する可能性を検証したところ、同じ条件においてBMP-2遺伝子の発現が誘導されることが明らかとなった。これらの知見は、細胞外カルシウムおよびリン酸感知機構を軸とした象牙質再生法のみならず、歯内療法におけるアペフィキシケーションへの応用につながる可能性を示唆するものである。それぞれのイオンは細胞外でリン酸カルシウムとして結晶化する可能性があることから、その結晶物が上述の反応系の要を司る分子であるという仮説のもと、結晶物の一つであるナノサイズハイドロキシアパタイト(nano-HA)を用いて同様の実験を行なった。非常に興味深いことにnano-HAはBMP-2遺伝子発現が亢進することが明らかとなった。さらに、直径200nm以下の異なるサイズのnano-HAを用いたところ、すべてのサイズにおいてBMP-2発現誘導活性を有することが明らかとなった。しかしながら、細胞外カルシウム、細胞外リン酸、およびナノサイズハイドロキシアパタイト刺激によるBMP-2遺伝子発現の誘導はそれぞれ異なったシグナル経路を有することから、その誘導はnano-HAに集約されるものではなく、3者がそれぞれにされるBMP-2発現の誘導に関わっていることが明らかとなった。
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