研究課題/領域番号 |
21659439
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
塚田 岳司 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70236850)
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研究分担者 |
蟹江 隆人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (70152791)
鳥居 光男 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30116066)
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キーワード | 傾斜機能材料 / 放電プラズマ焼結法 / 歯冠修復 |
研究概要 |
理想的な歯冠修復材料は、審美性、優れた機械的性質、あるいは生体親和性のすべての性質を兼ね備えた材料であるが、単一の材料でそれらのすべてを網羅することは非常に困難である。傾斜機能材料(以下FGMと略記する)は、2種類の異なる性質の材料の組み合わせにおいて、それぞれが連続的に変化することにより、お互いの長所を兼ね備えた理想に近い材料となる可能性を秘めている。そこでFGMの機械的性質について調べた。試料としては、チタン単体、歯科用陶材単体、そして歯科用陶材とチタンを用いて4層からなるFGMを作製した。いずれの試料も、放電プラズマ焼結機(SPS-515S, SPSシンテックス社製)を用いて作製した。FGMについては、上下両端に歯科用陶材100%、チタン100%の層を、歯科用陶材側に体積比で歯科用陶材:チタン=2:1の中間層を、一方、チタン側には、歯科用陶材:チタン=1:2の中間層を設けた。それぞれの層は同等なし厚さとした。焼結条件としては、いずれも、真空下で、加圧力40MPa、昇温時間10分、保持温度と保持時間については、650℃で5分として焼結を行い、直径10mm、厚さ3.5mmの円柱状の試験片を作製した。また、コントロールとしては、メーカーの指示にしたがって、ヴィンテージハローをAUTO CERAM-77(SANKIN社製)を用いて通常の方法で焼成を行い、同様な形状の試験片を作製した。測定は、マイクロビッカース硬さ試験、ダイアメトラル引張試験を行なった。今回の実験に供したFGMの陶材側は、メーカー指示による焼成条件で作製した陶材よりも、マイクロビッカース硬さ値は低かったが、ダイアメトラル引張強さにおいては、2倍ほど高い値を示した。さらに、5試料中3試料は破壞後に陶材表面に亀裂を認めただけで界面破壞は認めなかった。2試料については、破断は生じたが、界面破壞による破断は認めなかった。これらの結果より、傾斜機能材料は、審美性、優れた機械的性質を兼ね備えた新規の歯冠修復材料として応用できる可能性が示唆された。
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