研究概要 |
本研究では,象牙質再石灰化を目的として新規に開発したモノマーのin vitro石灰化誘導能について,モデル脱灰象牙質基質の石灰化能と比較・検討した.また,新規開発モノマーを配合した4-META/MMA-TBBレジンを試作し,微小引張試験によって象牙質に対する接着強さの検討を行った.さらに,走査型電子顕微鏡(SEM)で接着界面を観察し,石灰化誘導性モノマー配合の影響に関して検討を行った. 以上の実験から,次の結論が得られた. 1) in vitro石灰化誘導実験系において,新規開発モノマーAK-100がモデル脱灰象牙質基質(PV)より速やかにハイドロキシアパタイトを誘導した. 2) 微小引張試験において,新規開発モノマーAK-100, TSM-47の配合率が5%と10%の時に,コントロールの4-META/MMA-TBBレジンと同等の高い接着強さを示した.配合率が上昇するにしたがって接着強さが有意に低下した. 3) 象牙質接着界面SEM観察において,30%, 50%および70% AK-100配合レジンの象牙質接着界面には多孔質な欠陥構造が認められ,さらにレジンタグの形成が不完全な像が認められた. 4) これらのin vitro石灰化誘導実験結果から,石灰化誘導性モノマーAK-100が象牙質接着界面において脱灰象牙質の再石灰化を促進する可能性が示唆された,さらに,in vitro石灰化誘導実験では4-META/MMA-TBBレジンに配合するAK-100の至適濃度は10%であることが明らかになった.
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