研究概要 |
これまでのin vitro石灰化誘導実験で,新規開発モノマーAK-100が象牙質接着界面において脱灰象牙質の再石灰化を促進する可能性が示唆された.さらに,4-META/MMA-TBBレジンに配合するAK-100の至適濃度は10%であることが明らかになった.平成22年度は,象牙質再石灰化を目的として新規に開発したモノマーAK-100およびTSM-47の石灰化誘導能についてさらなる検討を行った.新規開発モノマーAK-100およびTSM-47を配合した4-META/MMA-TBBレジンを試作し(それぞれAKS,YTS),微小引張試験によって象牙質に対する長期接着強さの検討を行った. その結果、コントロールである4-META/MMA-TBBレジンでは24時間後と6ヵ月後で統計学的有意差は認められなかった。24時間後、AKS-5,10およびYTS-5,10の引張強さはコントロールと比較して有意差は認められなかったが、AKS-30,50,70およびYTS-30,50,70では有意に低い値を示した。24時間後と比較して6ヵ月後のAKS-5は有意に高い値を示し、AKS-10は低い値を示した。YTS-5,10の場合には有意差は認められなかった。さらに、全期間を通してAK-100およびTSM-47の同配合量間では有意差はなかった。つまり、AKS-5は4-META/MMA-TBBレジンの接着界面の耐久性を向上させ、YTS-5,10は同等の耐久性を示すことがわかった。 以上の結果から、AKS-5,YTS-5およびYTS-10は接着界面において再石灰化を誘導し耐久性向上に寄与する可能性が示唆された。
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