今年度は、まず、成人健常者(教室大学院生、研究協力者)を対象に、計測中の呼吸等による頭部の動きに対処するための頭部固定法、ならびに、レーザ出力端子の固定法について検討・調整し、頭部に出力端子を直接連結固定せずに呼吸等による頭部の動きに十分対処できることを確認した。ついで、被験歯への侵襲を可及的に防止するため医療用レーザ出力レベル範囲で測定を可能とする必要があり、加振ハンマーによる加振部位の特定・調整、加振方向・加振力の規制・調整、また、被験歯個々にレーザ反射用テープの貼付方法の検討・調整、ならびに、レーザ入射角の検討・調整をそれぞれ行った。その結果、計測応答感度を高め安定した伝達関数を得ることができ、十分計測可能であることを確認した。 対象被験者には、典型的な部分床義歯適用患者のうち、義歯装着による歯列の振動特性がより大きく変化すると思われる上顎半側欠損患者を選択し、成人健常者を対象に確認された方法に準拠して、まず、残存歯列自体の計測を実施し、十分な計測結果を得た。そこで、それぞれの症例に対して(1)白金加金、(2)コバルトクローム、(3)チタンの3種類の金属を対象に、実際の臨床において実施される代表的設計を、メタルフレーム部は3種類の金属間で可及的に近似させ、レジン部(床部、栓塞部)は可及的に同一として、決定し、被験者ごとに3種金属床顎義歯(オブチュレータ)を製作した。これら3種のオブチュレータを装着した状態での残存歯列の計測を、同様の方法で実施し、十分な計測結果を得、残存歯列自体ならびに3種のオブチュレータを装着した状態での残存歯列の4種状態間での比較検討が可能となった。 次年度は、計測方法のさらなる検証と計測症例数の増加を図る予定である。
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