研究課題
我々は、骨の局所的再建を目指し、これまでに、「人工ECM幾何学」の原理に基づいて、ハニカム型のβTCP構造体を開発し、骨形成に有効であることを示してきた。平成21年度においては、さらに、βTCPのトンネルが、ランダム方向に走る幾何構造体(ランダム・トンネル型βTCP、通称「雷おこし」と呼んだ)が有効である予想し、その製造と予備実験を行った。すなわち、内径0.3mm、外径0.5mmのβ-TCP製パイプを長さ1-2mmに切断し、顆粒状(これをパイプ顆粒と呼んだ)とし、トンネルが全方向を向くような構造体を創製することに成功した。ランダム・トンネル型βTCPは、1000℃以上に加熱して焼結することによっても製造されるが、一方ではパイプ顆粒をコラーゲン線維によって包摂することによっても製作できた。これらの成型体を1辺が5-10mm、厚さ2-3mmのブロック状に成型し、12週齢WKAH系雄ラットの頭蓋骨の骨膜下にOn-lay埋植した。6週後、摘出物を脱灰し、組織学的分析を行った。その結果、埋植後、6週にしてトンネル内に、血管と骨が入り込み、同時にパイプ顆粒の間隙にも骨が成長することが分かった。従来、ハニカムβ-TCPは、その最適空間(0.3-0.4mm)によって、(1)吸収性の骨補填剤として有効であり、(2)血管新生と骨新生の相互関係研究に有用であった。しかし、その骨形成方向が一定であり、ハニカム体の間の骨形成が不足する場合があった。ランダム・トンネルは、その方向性を任意にし、顆粒間の空隙も最適に近づけることで、骨形成の効率を、最大限に増大できることがわかった。
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Dental Material Journal (印刷中)
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