研究課題
細胞凝集塊(スフェロイド)培養は、三次元的に細胞が増殖するため、通常行われる単層培養に比べ、より生体内環境に近い状態での培養が可能となる。肝細胞はスフェロイド培養により細胞活性の長期維持が可能になることが知られている。また、癌細胞をスフェロイド化することで単層培養よりも生体内環境に近い薬物代謝解析が可能になると言われている。細胞のスフェロイド培養は応用性が高く、今後、創薬や再生医療においてよりニーズが高くなると考えられるが、これまでスフェロイド培養には煩雑な操作や高度な技術が必要であった。そこで、我々は、これまでに再生医療や薬物代謝解析に応用可能なスフェロイド培養装置の開発を行ってきた。一方、破骨細胞は血液由来の細胞がいくつも融合してできる多核巨細胞である。破骨細胞は生体内で唯一骨を吸収することができる細胞であるが、細胞融合のメカニズムやなぜ多核になる必要があるのかなど不明な点も多い。そこで、本研究はスフェロイド培養装置を改良し、破骨細胞を大量に単離、回収するための装置を開発することが目的である。本年度は、スフェロイド培養装置の改良を行った。装置は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)薄膜、アクリル板、ガラス板を材料として作製し、一つの装置内にスフェロイド形成部位を1500程度配置した。細胞をこの装置へ播種するだけで大きさが均一なスフェロイドを大量に形成させることに成功した。また、スフェロイドをプロテアーゼ処理などをすることなく非侵襲的に回収することができた。この成果は、Sensors and Actuators Bに投稿し、受理されている(印刷中)。この装置にマクロファージRAW264.7細胞を播種し、破骨細胞誘導因子を添加することで、培養装置中で破骨細胞が形成することを確かめている。現在、破骨細胞誘導における詳細な条件検討を行っている。
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Sens Actuators B (印刷中, 未定)
http://www-kiso.dent.tohoku.ac.jp/cfe/index.html