研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
東野 史裕 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
樋田 泰浩 北海道大学病院, 講師 (30399919)
北村 哲也 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00451451)
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研究概要 |
血管新生阻害剤に対しても抵抗性が生じるメカニズムとして,腫瘍細胞における抵抗性だけではなく,腫瘍内の血管内皮細胞そのものが薬剤抵抗性を獲得する可能性があることを仮説として立案した.腫瘍血管内皮細胞における抵抗性獲得の機序を探り,血管新生阻害療法に対する抵抗性の回避のための方法ならびに治療前の抵抗性予測の可能性を探るためにこれまで分離培養してきた腫瘍血管内皮細胞に対して各種血管内皮標的薬剤によって処理した.その中で生存して生き残った細胞を分離して薬剤抵抗性腫瘍血管内皮細胞として用いた.親株の腫瘍血管内皮細胞と薬剤抵抗性獲得した腫瘍血管内皮細胞のmRNA発現を比較検討した.その結果,薬剤抵抗性関連遺伝子MDR1,YB-1や,さらに染色体構造異常をもたらす関連遺伝子などの発現が高いことが示された.また,細胞を低酸素条件下で培養し,これら薬剤抵抗性関連因子の腫瘍血管内皮における低酸素の及ぼす影響を解析した.薬剤耐性腫瘍血管内皮細胞は低酸素環境下においてアポトーシスをおこしにくいことが見出された. また,薬剤抵抗性のある腫瘍血管内皮と感受性のある腫瘍血管内皮,さらには正常血管内皮細胞の染色体構造をFISH,さらにはmulti-color FISHによって比較検討した.薬剤抵抗血管内皮細胞にはより高頻度に染色体異常が見られることがわかり,抵抗性をひとたび獲得した血管内皮細胞には正常にはみられない遺伝子の異常や染色体不安定性があることが示された.
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