研究概要 |
本年度の研究実施は以下の通りでおこなった。 1)前年度までに制作した、中枢神経系特異的にA170の発現を欠失させたNestin-Cre x A170(f/f)コンディショナルノックアウト(=A170CKO)マウスについて、中枢での発現を免疫染色で調べたところ、A170CKOでは発現の低下が確認された。A170(f/f)をコントロールとし、A170CKOとフェノタイプを調べたところ、過食傾向にあったが、有意な差には至っていない。現在、18週まで体重測定を行っているが、今後のフォローが望まれる。これらを利用して,今後、骨解析を行う予定である。 2)中枢神経系でのレプチンシグナルの解析:Ob-Rb受容体とそれに続く転写因子のSTAT3シグナルの異常を調べるため、核移行について免疫染色で蛍光ラベルし共焦点レーザー顕微鏡で局在を調べたところ、レプチン刺激により野生型マウスでは84%の弓状核神経細胞はSTAT3の移行がみられたが、A170nullKOでは27%にとどまった。また、STAT3以外のシグナルの異常をMAPK,p38について調べた。 3)パッチクランプ法による神経伝達異常の解析:POMCニューロン特異的にGFPを発現させたeGFP-POMCtgマウスとA170ノックアウトマウスを掛け合わせ、POMCニューロンをGFP標識したA170ノックアウトマウスを作り、3-4週齢のマウスの脳を摘出し、視床下部を含むようにスライスし、ホールセル(全細胞)法でレプチン投与後の静止電位と活動電位を測定したところ、野生型との差はみられなかった。以上より、p62の作用点は中枢性であることが考えられるが、神経伝達には特定できず、今後詳細な検討が必要と考えられた。
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