閉塞性睡眠時無呼吸症候群における口腔内装置(以下OA)の治療効果を明らかにするために、2種類の下顎前方移動型口腔内装置、すなわち固定型OA、半固定型OAを用いて治療を行った2群におけるOAの治療効果について検討を行った。一般に固定型OAに比べると半固定型OAの効果は低いとされている。われわれが行った検討の結果でも、半固定型OAは固定型OAに比べやや効果は劣るものの81.8%の患者で無呼吸・低呼吸指数(以下AHI)の改善を認めていた。これは、他の固定型OAを用いて治療効果について検討を行った報告と比較しても、明らかに低い結果ではなかった。次に、固定型OAと半固定型OAの作用機序について明らかにするために、まずCT画像を3次元構築し気道形態を評価するために、気道形態をより精密に評価できるCT値についてわれわれオリジナルの方法を用いて検討を行った。すなわち、気道内よりCT値を1pixcelごとに測定していきCT閾値が最も変化する部位が気道の境界と考え、症例ごとに検討を行った。その結果、多くの症例でCT値の上限は-400~-500HUであり、-400HUが検討に用いる最も適したCT値であることを明らかにした。次に、このCT値を用いて口腔内装置装着時・非装着時の2回CT撮影を行い、気道形態の変化について検討を行った。その結果、半固定型OAでは軟口蓋後方では有意に拡大しているが、舌根部では気道は拡大していないことが明らかとなった。また、固定型OAでは軟口蓋後方では気道は拡大していないが、舌根部では気道が有意に拡大していることが明らかとなった。以上の結果より、治療前にCTを撮影し上気道の閉塞部位を確認するとともに、同時に下顎を前方に移動することにより、閉塞部位が拡大するかを確認することが重要であることが示唆された。
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