研究課題
口腔扁平上皮癌(OSC)の増殖能、浸潤能、転移能といった形質に関わるMicroRNA(miRNA)ならびにその標的遺伝子を明らかにすることを目的に、当科で樹立した6株のOSC細胞株(OSC1-6)ならびに2株の正常口腔粘膜上皮細胞を用いてmiRNA microarray解析を行った。その結果、正常口腔粘膜上皮細胞に比べてOSC1-6細胞において発現の上昇しているmiRNAを8種、発現の低下しているmiRNAを13種同定した。これらのmiRNAの発現について、real time PCR解析を行ったところMicroarray解析と同様の結果が得られた。OSC細胞株において発現が低下していたmiRNAのなかで、p53によって誘導され、CDK4/6やE2Fを標的とすることが報告されているmiRNA(X)をOSCの形質に関わるmiRNAの一つとして取り上げ、いくつかの検討を行った。OSC細胞にmiRNA(X)を導入したところ、miRNA(X)のターゲットの一つであるCDK4の発現低下が認められるとともに細胞増殖能の低下が観察された。逆に、miRNA(X)を発現するプラスミドを構築し、これをOSC細胞へ導入したところ、CDK4の発現上昇ならびに増殖能の増強が認められた。今後は、口腔扁平上皮癌のパラフィン包埋組織よりmiRNAを抽出し、miRNA(X)の発現レベルと種々の臨床的因子(TNM、治療に対する反応性、予後)との関連を検討する予定である。
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Recent Advances and Research Updates 11
ページ: 121-136
日本口腔外科学会雑誌 55巻
ページ: 553-561
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_dntst/index.htm