Active GTR膜を作成するためにPLLA-PGLAを用いることにし、分子量10-20万のものを用いたが、柔軟性が高すぎ、十分な形態保持ができないことが分かった。そこで分子量20万のPLLAに分子量2000のPLLAを10%添加したところ、十分な熱可塑性と強度を有する膜を作成することができた。そこでこの膜を10%ゼラチン溶液に浸漬したのち風乾し、ゼラチンによるコーティングを試みた。次に、この膜上にin vitroで綿維芽細胞を播種したところ線維芽細胞はよく接着、進展した。さらにこの膜にbFGFを添加した後、線維芽細胞を播種したところ、旺盛な細胞増殖を認めた。そこで、この膜をラット頭蓋骨上に置き、皮層欠損を作成したが、残念ながら半数のFLLA膜は排出されていた。残存したFLLA膜も反膚で完全には被覆されていなかった。 一方、ハイドロキシアパタイトあるいはβTCP顆粒をこの膜で被霧し、ラット頭著骨上に移植したが、人工骨にBMP 10μgを添加させたものでは、旺盛な骨形成を認めたが、対照群の何も成長因子を添加しないもの、あるいはbFGF10μgを添加したものでは骨形成を認めなかった。 本来、GRR膜は何ら成長因子を使用しなくても骨形成の誘導が可能な手法であるが、今回作成したPLLA膜は本来のGBR膜といてと機能していなかった。これは形態保持を主眼に置いたため、強度が高すぎ、骨面との接触が不十分であった可能性がある。また軟組織を誘導することができなかったが、これにはPLLAとゼラチンの結合をより強固にする必要があると思われた。
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