歯周病は、歯周病原細菌感染による炎症であるが、その病態には各種サイトカインや破骨細胞の活性化も含めた宿主の免疫応答の関与が明らかにされてきた。一方、歯周病は歯周組織局所での炎症および破壊にとどまらず、糖尿病や動脈硬化症、虚血性心疾患などの全身疾患との関連が報告されているが、そのメカニズムについては未だ明らかでない。本研究では、歯周病が肝臓における糖代謝や脂質代謝に影響しているとする仮説(Periodontol 2000 2007 : 43 : 254-66Review)、および肥満に関連した種々の代謝異常と歯周病が相互に影響を及ぼしあっているとの視点から、これを検証するためのモデルとして3次元培養システムを用い、in vitroでそのメカニズムを詳細に解析することを目的とした。その結果、歯周病原細菌由来LPSによる刺激で脂肪細胞・マクロファージ系細胞から産生される種々のサイトカイン、アディポカインのうち、レジスチンとアディポネクチンの産生は、LPSによる悪影響を受けることが分かった。これらの現象は歯周病が全身へ及ぼす影響におけるメカニズムのひとつである可能性が示唆された。
|