研究課題/領域番号 |
21659493
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三木 祐子 東京大学, 医学教育国際協力研究センター, 特任研究員 (20504715)
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研究分担者 |
錦織 宏 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10463837)
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キーワード | 看護系大学学士課程 / 模擬患者参加型授業 / 模擬患者の能力 / 模擬患者評価票 / インタビュー |
研究概要 |
本研究の最終目的である「看護系大学学士課程教育に参加できる模擬患者養成の教育プログラム開発」に向け、今年度のResearch Questionを「看護教員や看護学生が看護系大学学士課程に参加する模擬患者にどのような能力を求めているのかを明確にする」とした。昨年度、本研究のために構築したオプショナル授業を通じて、SPに対する看護教員・学生の他者評価、模擬患者の自己評価を分析した。実際の模擬患者の能力は、模擬患者評価票(Maastricht模擬患者評価票の日本語版)を用い、SPの演技やフィードバックについて量的に分析した。各項目は4段階のリッカート尺度(1=全くそう思わない、2=あまりそう思わない、3=ややそう思う、4=全くそう思う)とし、10段階の概略評価を加えた。 〈SPの演技に関する評価(平均値)〉学生は「質問への答え方は自然である」(3.85点)、SPは「学生の能力を試していない」(3.94点)、教員は「不必要に情報を出し惜しみしていない」(3.65点)で最も高かった。評価項目「身体愁訴の演技は不自然である」は、32.4%のセッションにおいて教員が"思う"と評価していた。 〈SPのフィードバックに関する評価(平均値)〉学生は「セッション中にどのように感じたか伝えている」「セッション中の具体的な例を挙げている」「他の学生と比較する」(各3.94点)が最も高く、この3項目は、SPや教員も上位であった。評価項目「建設的な批評をしている」は、学生(2.29点)、教員(2.94点)ともに低く、教員は61.8%のセッションにおいて"思わない"と評価していた。全体的に演技はフィードバックより評価が高く、概略評価では学生(9.26点)、SP(7.97点)、教員(7.44点)の順に評価が低かった(p<0.001)。 今回、SPの演技・フィードバックにおける学生の満足度は高いが、身体愁訴の演技などさらにリアリティを追及し、建設的なフィードバックができるような養成方法を検討する必要があると示唆された。一方、模擬患者養成や模擬患者参加型教育に関わる看護系大学教員10名を対象に、「教員が実際に関わっている授業(対象学年・科目・内容等)」「授業で模擬患者に期待する役割」「よい模擬患者」「今ひとつの模擬患者」「模擬患者養成の学習環境や内容」についてインタビューを行った。現在、SCAT(Steps for Coding and Theorization)法を用い、質的分析を行っている。
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