研究課題
本研究は、学習障害および発達障害のある看護師・看護学生の実態を把握する目的で開始した。最初に全国の看護師養成施設における看護学生の実態を調査する計画を立案しはじめたが、その質問項目を設定するにあたり、研究チームメンバーだけでなく、より広く情報を収集する必要が提案された。そのため、研究計画を変更し、まず、研究メンバーの知人である看護教員に発達障害あるいは学習障害の可能性のある事例について収集することとした。収集した事例について論文発表しないことを条件に、名古屋大学医学部倫理審査委員会の承認が平成21年10月に得られ、調査を開始した。調査内容は、1)その学生のいた養成機関の属性(大学[総合大学、単科大学]・短大・専修学校、課程[2年課程、3年課程、准看護師養成課程{各種学校、高校衛生看護科}]、定時制・全日制の別、2)その学生の全般的な傾向、3)特に学習困難を認めた具体的なエピソード、4)どのように指導し、どのような困難があったか、5)指導の結果の結末(改善、留年、退学、指導継続中など)、5)その他、学生指導に関して普段考えていることの自由記載、とした。対象学生は、現任校のみでなく、その教員がこれまで経験した学生全体とした。これらの質問項目から成る調査票(Wordファイル)を入れたUSBフラッシュメモリを郵送し、ファイルに回答を入力して返送してもらった。その結果、19名の看護教員から32例の事例が報告された。報告された事例は、次年度に行う看護学生全国調査のための質問項目作成の参考資料とされることとなった。