地域の医療施設を結ぶ感染管理のネットワーク構築と医療関連感染制御教育プログラムの開発を目的として、熊本市内の医療施設を対象に看護師問のケアネットワークや薬剤耐性菌感染予防対策等についてアンケート調査を行った。調査にあたっては熊本大学大学院医学薬学研究部等倫理委員会の承認を得た。 調査対象施設は532施設であり、回収数は106施設(19.9%)、有効回答数は103施設(19.4%)であった。施設はベッド数0床が35施設(34.0%)、1~19床が32施設(31.1%)、20~300床が29施設(28.2%)、301床以上が7施設(6.8%)であった。現在、感染管理に専任あるいは専従している看護職がいる施設は15施設(14.6%)であったが、18施設(17.5%)の施設では、今後、感染管理専任あるいは専従の看護職を置く予定であると回答していた。看護職間のケアネットワークの必要性を感じている施設は101施設(98.1%)、実際にネットワークへの参加を希望する施設は88施設(85.4%)であり、看護職によるケアネットワークに対するニーズは高いことが明らかになった。 無床の施設では院内感染対策指針の提示がなされていない施設(8施設、22.9%)や、感染対策マニュアルが作成されていない施設(11施設、31.4%)が有床の施設に比べて多くなっており、組織としての感染予防対策の遅れが懸念される。感染予防に関する内容として、「感染症の集団発生時の対応」「スタッフへの感染予防教育の計画、実施、評価」「薬剤耐性菌感染症の予防と対応」に関しては、多くの施設が医療施設問の看護師間での情報共有や、学習の必要性、専門家からの助言を必要としており、教育プログラムへ組み込むことが必要であると考えられた。
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