東日本大震災以降、国民の災害への関心は高くなっている。しかし、妊婦が緊急地震速報後、地震の揺れに対してどのような姿勢をとれば良いのか、まだ明らかになってはいない。本研究の目的は、緊急地震速報後に妊婦が地震の揺れに対して安全な姿勢をとり、スムーズに避難することで健康被害を最小限にする試みである。3年目となる本年度は、前年度に引き続き、耐震性のある建物の中で緊急地震速報を見聞きしたと仮定し、揺れに備えるために1手をついてかがむ 2膝をついてかがむ 3お尻をついてかがむ 4四つん這いになる 5四つん這いで頭と胸を床に近づける 6立ったまま机を支えにする 7立ったまま壁を支えにする の7つの姿勢をとってもらいアンケート調査を合計352名に実施した。妊娠による体型の変化により取りやすい姿勢や行動の変化を明らかにするため、1)安定感2)移動のしやすさ(避難行動への移りやすさ)3)実施可能性(地震の時にこの姿勢をとろうと思うか)について調査した。調査項目を属性に加え、妊婦の身体的状態、大地震への遭遇の有無、緊急地震速報を入手する手段、安全の確認行動、揺れをしのぐ姿勢、家族からの支援希望とした。同意が得られ、有効回答であった285名の結果が得られた。 次に起震車を用いた実験(震度5弱)を妊娠経験のある健常女性19名に同意を得て実施した。妊婦体験ジャケットを着用し、7つの姿勢をとったときの身体の動揺をビデオにて撮影した。動揺の程度を評価、併せて内側広筋、腰部脊柱起立筋、腹筋、上腕三頭筋の筋活動を計測し、腰の加速度を評価することで、身体への負担を検討した。また、それぞれの姿勢をとるまでの動作時間を計測した。計測後に、模擬妊婦には、それぞれの姿勢の安定感・次の避難行動への移りやすさ・実施可能性と夫が一緒であった場合、夫にも起震車に同乗してもらい支援についてアンケートを用いた調査を実施した。
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