研究概要 |
曝露予防策の組織的なアプローチ法を検討する目的で、抗がん剤曝露予防に関心が高く,全国の施設で働くがん化学療法看護認定看護師(認定看護師)に対して郵送法による留め置き調査を実施した.調査内容は(1)組織的な抗がん剤曝露予防の現状自施設のガイドライン等の有無,認定看護師の関与と推進の困難点などである,分析は回収された169名(回収率55.6%)の記述統計,自由回答は内容分析を施行. その結果、曝露予防のために組織的に講じているガイドラインがある60.4%,ない39.6%であり、ガイドラインの効力範囲は看護師96%,薬剤師64.4%であり,運搬者や事務者はわずかに数%であった.ガイドラインの有無と病院の種類,がん拠点病院か否かで比較したところ,ガイドラインを有するのは,がん専門病院では90%,大学病院では半数強であり有意差を認めた.がん拠点病かどうかでは差は認められなかった。ガイドライン作成への認定看護師の関与は,中心的にかかわった59.4%,チームの一員22.8%,関与なし17.8%であり,曝露予防対策への取組は,積極的61.5%,どちらとも言えない35.5%,積極的ではない3%であった.ガイドラインは推進のために役立っている50.5%,どちらとも言えない44.4%であった.推進の困難点としては,ガイドラインの有無にかかわらずスタッフの理解不足,コスト,組織に浸透しないことや病院の意識の低さが上位に挙げられた.この調査からがん化学療法看護認定看護師が所属する施設においてもガイドラインの保有は6割であり,特に大学病院においてはその普及が急務である.また,認定看護師の役割認識とともに曝露予防のためには組織を挙げての取り組みが必要であることも示唆された.
|