本研究の目的は、ストーマ周囲皮膚を観察することにより皮膚障害を判断し、皮膚障害がある場合にはケア計画の立案もできるシステムを開発することである。そこで、ストーマ周囲皮膚の障害部の状態ならびに発生部位を言語化し、皮膚生理機能と併せて皮膚障害の病態との関連性を見出した。さらに、ケアとの関係をみた。 同意が得られ調査対象となったものは74名であった。ストーマの種類は、コロストミー63.5%、イレオストミー25.7%、ウロストミー10.8%であった。皮膚障害の実態は、色調変化100.0%、びらん58.3%、組織過形成10.8%であった。障害部位は、ストーマ近接部32.4%、ストーマ近接部と面板貼付部55.4%、面板貼付部4.1%、テープ貼付部8.1%であった。ストーマ周囲皮膚障害部の生理機能の平均値は、pH6.0、角質水分量29.8%であった。病態は、接触皮膚炎による紅斑・びらんが85.1%、偽上皮腫性肥厚(PEH)2.7%、機械的刺激による表皮剥離12.2%であった。これらより、病態と実態との関係は、接触皮膚炎による紅斑は、ストーマ近接部と面板貼付部位に限局しており、pH・角質水分量には正常な皮膚と差はなかった。接触皮膚炎によるびらんとPEHは、ストーマ近接部と面板貼付部位に限局しており、pH・角質水分量は正常な皮膚より高値であった。しかし、PEHは皮膚より突出した病変が特徴であった。機械的刺激による表皮剥離は、面板貼付部位とテープ貼付部位に認め、pH・角質水分量は正常な皮膚より高値であった。ケアは、接触皮膚炎とPEHでは装具交換間隔を短期間に変更、あるいは装具を変更していた。機械的刺激による表皮剥離では、剥離剤の使用を指導していた。 これらより、皮膚障害とケアとの関係性は見出せたが、ストーマ周囲皮膚障害に認める壊疽性膿皮症等を認めなかったため、調査を継続する必要がある。
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