研究概要 |
平成21年度の本研究参加者は男性1名,女性11名の12名であった.実験群の平均年齢と標準偏差は88.8歳±10歳、対照群では84.6±6.1歳であった。対象は全て左右どちらかの大腿骨骨折の受傷によって手術療法を受けた患者である.対象を無作為抽出法により実験群と対照群に分別したところ実験群6名,対照群6名であった.実験群に対しては,入院翌朝よりブライトケアを実施した.ブライトケアは専用器機により2500lx前後の照度条件でベッドの足元またはベッドの側面から患者の顔面に向かって午前9時から午前11時にわたり照射した.照射期間は手術前から手術後1週間とした.一方,対照群には通常照明の中で過ごしてもらった.両群とも手術前から手術後1週間を通してニーチャム急性混乱錯乱スケールを用いてせん妄評価を実施した.そして,ブライトケアの効果を反映する血中セロトニン濃度およびストレス度を反映する血中コルチゾル濃度を経時的に計測した.採血は,手術前日,手術後1日目,手術後3日目,手術後7日目の朝とした.平成22年度は,12名のデータ解析を行い,ブライトケアの効果を早期に評価する.また,せん妄発症状況によってはブライトケアの継続期間についても検討したいと考えている.さらに,データを解析した結果に考察を加え,看護系学術集会での公表および雑誌への投稿を計画している.平成21年度はブライトケの器機はスタンド型を使用してきたが,手術後の離床状況を考慮してデイルームなどで使用可能な卓上型のものも併用していきたい.
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