小児脳腫瘍患児・家族の実態の全体像を明らかにするための横断調査に向けて、以下の3つの準備を行い、明らかにするべき全体像の内容を特定した。1.文献検索:「小児脳腫瘍」と「QOL」「合併症」「適応」を主なキーワードにして、国内外の文献検索を実施した。2.研究代表者が2008.9-2008.12に行った質問紙調査の中で、小児脳腫瘍患児29名と家族95名に記載してもらった、困難や心配ごとに関する自由記述(558分析単位)の内容分析を行った。3.国内外の学術集会に参加して小児脳腫瘍に関する発表を行い、海外でもここ数年に特に注目されて調査が現在進行中である小児脳腫瘍患児のフォローアップ研究について、最新の情報を収集した。以上から、調査すべき内容を特定し、小児脳腫瘍経験者の健康関連QOLを軸として、彼らの実態の全体像を明らかにする多施設調査の準備を、次のように行った。1.本研究の主要評価指標の一つである小児脳腫瘍特異的QOL尺度の日本語版開発を完成させ、論文を作成した。2.調査する質問紙および認知機能検査バッテリーを作成し、心理尺度と認知機能検査について、開発者に連絡をとり使用許可を得た。3.フィールドへの研究協力依頼を行い、全国にまたがる10病院の医師から研究協力を得ることとなった。4.研究代表者・連携研究者・研究協力者で会議を行い、調査内容と調査手順を決定した。平成22年度はデータ収集を行う予定であり、各病院の倫理委員会での承認が得られ次第、小児脳腫瘍経験者とその保護者160組に対して、診療情報調査・質問紙調査および認知機能検査を依頼し、同意を得て実施する計画である。
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