平成19年度「学校における教育の情報化の実態調査等に関する調査」によると、都道府県により格差があることが報告されている。一方、病気が理由で長期入院をよぎなくされた子どもの教育保障のために病院内学級が設置されているが、特に学童期は、心理・社会的発達の上で重要な発達段階であり、その子どもたちが外部との接触が著しく制限された空間で過ごすことによる精神的ストレスや不安に関する指摘がなされている。本研究は、学童期の患児が通う病院内学級と原籍校(入院前に在籍していた学校)とを結ぶ光ブロードバンドネットワークを活用するTV会議形式の環境システムを構築する。本研究はインターネットによる双方向通信による授業展開の可能性を検討すること、及び、本システムの利用による患児の心理・社会的効果についても検討することを目的とする。 (1) 平成21年5月より、対象児の在籍する病院長、病院研究倫理委員会、施設長および3市の教育委員会委員長等に対して、ブロードバンドネットワークを活用する双方向映像交信するシステムの構想と研究計画および倫理的配慮等を説明した。説明により関係各位の承諾書のサインを頂き、本システムの機器を病院内学級と対象児童の原籍校に設営し運営した。 (2) 小児がん等で治療のために入院期間が1ヶ月以上の長期化することが予測される病院内学級に在籍する患児と家族2事例に対して、本システムを説明し承諾と協力を得て調査を実施した。 (3) 本システムにおける教室内の機器設置場所や利用方法など標準化にむけて検討した。 (4) 成果は病院内学級と地域を結ぶ方法の新規性や課題を検討して、国際学会に発表した。 (The 7^<th> International Nursing Conference : Development of an Internet-based System Linking In-hospital and School Class 等で発表した。
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