研究課題/領域番号 |
21659526
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
鈴井 江三子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (20289218)
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研究分担者 |
山本 八千代 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (10295149)
池田 理恵 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (70249051)
久我原 朋子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (60441482)
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キーワード | 学童保育指導員 / 子どもへの性暴力 / 児童虐待 / 早期発見 / ケア能力の向上 |
研究概要 |
本研究では子どもへの性暴力の早期発見要因を明らかにするため、学童保育に着目し、学童保育指導員(以下、指導員という)が発見した性暴力、虐待の発見状況について調査を行った。調査方法は、1.調査対象施設・対象者:対象施設は、O県内にあり全国学童保育連絡協議会加盟の12施設。対象者は、対象施設の承諾と保護者の同意が得られた後、性暴力または虐待の発見をした経験のある指導員で、本研究への協力が得られた16名とした。2.調査はインタビュー調査とし、インタビューガイドを作成し、半構成的面接法を行った。また同意の下、録音とメモを取り記録した。3.調査内容:性暴力、虐待を発見した際の子どもの状態、状況、及び対応方法等であった。また、子どもに対する観察内容も調査した。4.分析方法:質的帰納的分析方法を用い、調査内容を全て逐語録とし、それを基に分析基礎表を作成し、カテゴリー別に分類した。 その結果、1.対象者の属性:対象者は全員女性で、主任的立場であった。経験年数幅は5~23年で、10名は教員免許状の有資格者であり、5名は保育士資格を保有、1名が無資格であった。2.発見した虐待とその内容:発見した虐待や疑いのものは身体的、精神的虐待とネグレクトが多く、明らかな性暴力被害の発見は1件であった。しかし、異常なまでの性器への関心を見せ、性的な行動が過剰である子どももおり、性暴力被害の疑いが濃い症例が発見されていた。 以上のことから、学童保育施設では、子どもが家庭生活に近い環境にいるため、身体的、精神的虐待とネグレクトは指導員によって発見される場合が多く、子ども自身が虐待の事実を語る場合も多かった。しかし、性暴力に関しては子どもが語ることはなく、子ども同士の不自然な行動によって発見されていた。つまり、性暴力に関してはより注意深く子どもと関わらないと発見しにくいことが、本調査からも示唆されたと考えられる。
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