研究課題
我々は、認知症の患者や家族介護者の在宅療養支援のツールの一つとしてInformation Technology(以下ITと略)の有効性に着目してきた。ITは本邦において、「血の通わない技術」とみなされることが多く、GPS機能や見守りネットといった分野で徘徊老人の事故予防などに使用されつつあるものの、未だ一般的には浸透していないのが現状である。しかしながら、患者及びその家族の精神的ケアのためには、双方向性にコミュニケーションが可能な「血の通った技術」としてのIT名導入していく必要がある。また、医療費の高騰が問題となっている昨今、新たに機器を開発するのではなく、既存のインフラを利用して、医療費を抑制していく必要もある。これらの二点を同時に達成するために、「既存のインフラを利用した双方向性の在宅支援システム」を立ち上げるべく、本課題を立案した。用いるテレビ電話のツールとしてNTT西日本のフレッツフォンを利用し、京大病院に外来通院する認知症患者を対象群と介入群に分けて、現在各々3カ月の介入試験を行った。介入は週1回30分で、テレビ電話において簡単な認知機能検査や認知リハビリ、また家族介護支援を行った。これらを平成22年度中に介入群と対照群において各10名ほど行ったため、現在その結果を解析中である。現在のところ、認知機能テストなどでは有意な効果はみられていないが、家族および患者からは「安心感がある」「生活に張りが出た」「相談できて良かった」という声が多く聞かれており、有効性があることが実証された。今後は大規模に施行していくためのインフラ整備を考えて行きたい。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)
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