研究概要 |
筆者らの先行研究の結果から,本県に従事している訪問看護師の平均年齢は43.63歳,訪問看護経験は5.74年であり,ターミナルケアの積極性にはこれまでの看取りへの満足感,死への関心,人生における目的意識に関連があることが明らかとなった.これらの結果から,在宅看取りに対するケアの体制作り,教育,人材育成や定着の必要性を認識した.そこで本年度は,在宅看取りケアに関わる看護に必要な能力についてのニーズを明らかにすることを目的として1)在宅で看取りの経験をした遺族へのインタビュー調査2)在宅看取りを担当している医師・訪問看護師・病院看護師へのインタビュー調査3)高齢者への質問紙調査を実施し質的,量的に検討を行った.結果1.家族が求める看取り時の看護支援:察する,患者と同じ目線,明るい対応,親切,工夫,熱意,毎日来てくれる,相談しやすい関係,やさしい言葉かけ,連携,迅速な対応,手技,橋渡し,知識の提供,情報の提供,社会の風,看取りへの準備を支援するなどが必要な看護師の能力として示唆された.2.医療スタッフが考える必要とする能力:家族ケアの力,療養者の苦痛を緩和する力,療養者・家族の希望を支える力,療養者・家族・医師の意向を調整する力,医師や他職種と連携する力,看護師としての態度・姿勢がよい看取りの実現に関係していることが示唆された.3.高齢看の在宅看取りの希望に影響する要因:高齢者の希望する最期の場所は,自宅60.5%自宅以外39.5%であった.家族介護のみを当てにしない行政や地域の連携にょるサポート体制の充実,在宅医療の普及・啓発が今後必要であり,橋渡し型のソーシャルキャビタルを高めるようなコーデイネートか重要であることが示唆された.得られた結果から,長崎版在宅看取り教育プログラムの作成を検討している.今後は作成したプログラムを基に看護師を対象とした研修会の実施を検討する.
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