筆者らの先行研究から、在宅看取りに関わる看護に必要な実践能力として、「緩和ケアについての知識」、「家族へのケア」、「自身の看取りケアへの客観的評価能力」が明らかとなった。A県52カ所の訪問看護ステーションに勤務する看護師222名を対象として、死生観に関連する要因を明らかにすることを目的に、調査した結果、「これまでの看取りの満足感」が高い訪問看護師が、死生観尺度測定による「人生における目的意識」が高く、看取り事例に満足感を持っていくことが、看取りケアに前向きに関わっていけることが示唆された。 研究課題に対し、これまでの自分が実践した事例への看取りケアを丁寧に振り返ることにより、ケアの意味を見出すことを目的として、以下の教育プログラムを実施した。 (1)「独居で家族と疎遠ながん患者の在宅看取りに寄り添って」「がん患者の家族ケアを考える」をテーマとして事例検討会を2市で合計3回実施した。(2)緩和ケア招聘講演会「地域で看取るための協働とは」を1回開催した。 全参加者106名を対象に、参加後の満足度は「大いに満足75.9%」、「満足24.1%」、「不満足は0%」であり、「今後の看護実践に役立った」としていた。また、記述内容分析から、開発した教育研修プログラム内容は訪問看護師の在宅看取りケア実践を高めるためには有用である可能性が示唆された。 今後は、更に、教育プログラム内容の検討を加え、在宅看取りに携わる看護師に対する効果的な教育ツール作成に向け検討する。また、訪問看護師の在宅看取りへの意識の変化の検証、介入地域住民への調査を実施し、最終的な妥当性について検証する。最終年度に、論文化による公表を行う。
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