研究課題
成体脳のニューロン新生の制御機構の解明を目指して、交付申請書に記載した4項目について研究を行い、以下の成果が得られた。(1)上衣細胞繊毛の極性決定機構の解析上衣細胞繊毛の方向性の決定の分子機構に関与する候補分子として、非筋細胞ミオシンIIに着目してその発現と機能を解析した。非筋細胞ミオシンIIの重鎖(NMHC)には、Myh9,Myh10およびMyh14の三種類が同定されている。これら全てが上衣細胞に発現していることが免疫組織化学によって明らかになった。RNAi法によってこれら三種類の発現を同時に抑制すると繊毛の局在が異常になったことから、繊毛の基底小体の分布の制御における非筋細胞ミオシンIIの役割が明らかになった。(2)新生ニューロンの移動制御機構の解析新生ニューロンの移動に必要であることが明らかにされているタンパク質Girdinと相互作用するタンパク質を探索し、その中から細胞移動における機能が報告されているGEM interacting protein (Gmip)に着目して解析を行った。Gmipの発現をRNAi法により抑制したところ新生ニューロンの移動が促進されることを示唆する結果が得られた。(3)ゼブラフィッシュ成魚の脳室下帯の解析成魚および稚魚の脳室下帯を電子顕微鏡観察によって詳細に解析し、マウス・マーモセットの細胞と比較を行った。幾つかの共通点と相違点が見いだされた。(4)嗅球傍糸球細胞の新生制御機構の解析2光子顕微鏡により嗅球内の新生ニューロンのin vivoライブイメージングを行い、定量的な解析によって、細胞のターンノーバーが血管の付近で高頻度に起こることが明らかになった。この現象は、鼻孔閉塞プラグによって入力を調節しても観察されたことから、嗅覚入力に依存しないメカニズムであると考えられた。
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