研究概要 |
平成22年度は前年度に行った解析アルゴリズムの構築をさらにすすめた。重力異常から地盤構造を逆解析によって推定する従来の手法に加えて,より柔軟性が高く重力や磁気のように異るポテンシャルを組み込んで解析可能な汎用的な解析手法の開発をおこなった。その際,数値計算の際の計算誤差などの問題を回避するための工夫がより必要であることも明らかとなった。また,磁気異常の情報を加えることで密度境界を同定するための解析法について検討した。 一方,観測手法に関しては,重力センサーの性能試験を継続して行うとともに,船舶や自動車にセンサーを搭載して移動しながら計測を行った場合の応答について実験を行った。その結果,キャリアの振動の影響をいかに除去するかが重要であることが明らかとなった。また,センサーを水平を保つためのジンバル機構および外部振動を緩和するための支持機構を開発するために,小型のシステムを試作した。試作機を用いて振動台実験および実際の観測を行ってジンバルの応答を記録した。ジンバル機構の理論モデルを構築することにより,観測値と数値解析の結果を比較し,ジンバルの挙動が重力探査結果に及ぼす影響について検討した。磁気探査については磁気センサーが受ける振動が観測結果に及ぼす影響に関する検討に着手した。 さらに,センサーを積載するキャリアの運動や姿勢を精度よく計測するためにGPSを4台用いた姿勢計測装置のプロトタイプを構築し,計測のためのアルゴリズムの開発および精度についての基本的な検討を行った。その結果,提案手法でもある程度の精度を得られることがわかったものの,重力探査に適用するためにはより高精度な解析アルゴリズムを必要であることが明らかになった。
|