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2012 年度 実績報告書

高精度地盤構造推定のための微動・重力・磁気の統合観測システムと同時逆解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21671003
研究機関東京工業大学

研究代表者

盛川 仁  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60273463)

研究期間 (年度) 2009-05-11 – 2014-03-31
キーワード微動探査 / 重力探査 / 磁気探査 / 同時逆解析 / 基盤構造
研究概要

観測については前年度までに重力探査のためのセンサーの問題点を明らかとしたうえでデジタルサーボセンサーを新たに開発し,その基本性能について確認をした。今年度は,このデジタルサーボセンサーを実際に無人ヘリコプターをはじめとして各種キャリアに搭載してデータを取得し,重力変化を測定可能かどうかを実験した。まず,大型観覧車に搭載して重力変化を測定したところ,デジタルサーボセンサーは短周期の変動にたいして演算処理が追随できず,正しい波形が得られないことが明らかとなった。そのため,短周期に対してセンサーが感度をもたないようにセンサーを改良した。
改良されたセンサーを小型ボートに搭載し,漁船で曳航しながら測定を行い,短周期の変動に対してロバストなセンサーであることが確認された。次に,このセンサーを遠隔操作可能な自律航行型無人ヘリコプターに搭載して測定を行った。重力変化が理論的に推定可能で測定結果の妥当性を確認できるように,堤高100mを超える大型重力式ダムを横切るようにヘリコプターを飛ばした。また,重力測定用センサーとともに,磁気センサー,ジャイロ,GPS,水平動加速度計も搭載して記録を取った。
この結果,磁気センサーの出力はそのままダムの磁性体の位置を正確に反映していることがわかったが,重力センサーはそのままでは機体の振動の影響が大きく,微少な重力変化を反映しているかどうか明確ではなかった。そこで,水平動加速度計の出力を用いて姿勢の水平補正を行ったうえでHilbert-Huang変換を応用することで重力の微少な変動を抽出できることを示した。また,ジャイロとGPSの組合わせによってセンサーの姿勢を正確に推定する手法を開発した。
一方,解析法については,重力と微動の同時解析による3次元構造推定手法を確立するとともに,重力と磁気,微動の併合処理のための手法の枠組みを完成し,鳥取平野における実際の記録に適用して手法の妥当性を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微動,重力,磁気の3つの異なる物理量を併合処理するための解析法を確立することが本研究の目的であるが,重力測定用センサーが当初予定していたセンサーの供給をうけられず,結果的に新規開発することとなったため性能試験が遅れ気味であったが,新型センサーの性能が期待されるものに達したため遅れを取り戻した。解析法についても,複数のアプローチで行っており,いずれのアプローチからも妥当な結果が得られるようになっており,ほぼ予定通りの成果が得られている。

今後の研究の推進方策

当初予定には含まれていなかったが,新規開発した重力測定用センサーの開発に目処がついて,実際の観測で使えるようになった。しかし,さらなる改良の余地があるため重力測定用センサーの改良は継続する。解析については当初の目標である微動,重力,磁気の異なる物理量の併合処理のための手法の開発を継続する。さらに実データに適用して手法の妥当性を検証する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Very dense array observation in Furukawa district, Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Goto, H., Morikawa, H., Inatani, M., Ogura, Y., Tokue, S., Zhang, X. -R., Iwasaki, M., Araki, M., Sawada, S., Zerva, A.
    • 雑誌名

      Seismological Research Letters

      巻: Vol.83,No.5 ページ: 765-774

    • DOI

      DOI:10.1785/0220120044

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フォースバランス型加速度計を用いた簡易相対重力計開発のための基礎的研究2012

    • 著者名/発表者名
      松尾寛子, 盛川仁, 松田滋夫, 徳江聡, 駒澤正夫, 楠本成寿
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1 特集号

      巻: Vol.68,No.4 ページ: 236-243

    • DOI

      DOI:http://dx.doi.org/10.2208/jscejseee.68.1_236

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 表層地盤と入力波の周期特性を考慮した表層地盤での地震増幅率の評価2012

    • 著者名/発表者名
      野上雄太, 坂井公俊, 室野剛隆, 盛川仁
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1

      巻: Vol.68,No.1 ページ: 191-202

    • DOI

      DOI:http://dx.doi.org/10.2208/jscejseee.68.191

    • 査読あり
  • [学会発表] 一周波GPSとIMUを用いた位置・傾斜角推定の精度検証2013

    • 著者名/発表者名
      大澤英里, 鈴木拓也, 佐伯昌之, 松田滋夫, 盛川仁
    • 学会等名
      第62回理論応用力学講演会
    • 発表場所
      東京工業大学 大岡山キャンパス(東京都)
    • 年月日
      20130306-20130308
  • [学会発表] A basic studey to develop shipboard and airborne gravimater using a force-balanced-type accelerometer2012

    • 著者名/発表者名
      Morikawa, H., Matsuo, S., Tokue, S., Ogura, Y.
    • 学会等名
      Proc. of 15th World Conference on Earthquake Engineering
    • 発表場所
      Lisbon (Portugal)
    • 年月日
      20120924-20120928
  • [学会発表] Discrete Analytic Signal Wavelet Decomposition for Phase Localized in Time-Frequency Domain for Generation of Stochastic Signal with Phase Uncertainty2012

    • 著者名/発表者名
      Riki Honda and Prem Prakash Khatri
    • 学会等名
      Proc. of 15th World Conference on Earthquake Engineering
    • 発表場所
      Lisbon (Portugal)
    • 年月日
      20120924-20120928
  • [学会発表] Effective vertical acceleration correction in airborne gravity measurements2012

    • 著者名/発表者名
      Shigekazu Kusumoto, Jiro Segawa
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場(千葉県)
    • 年月日
      2012-05-23
  • [備考]

    • URL

      http://quake.enveng.titech.ac.jp/airgrav/

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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