今年度中、大槻玲氏、中村健太郎氏、萩原啓氏、津嶋貴弘氏の合計4名をポスドクとして雇用して、研究を行った。研究代表者は連携研究者である小林真一氏(東北大学)・辻雄氏(東大数理)との教書論文、G.Kings氏(Regensburg大学)との共著論文合計3編を出版した。また、G.Kings氏とともに、素数p>3がordinaryな場合の虚2次体に付随するHecke指標のp進Beilinson予想に関する論文を完成させた。共同研究を発展させるため、今年度の3月に1週間程度、Kings氏と研究打ち合わせをするためにドイツに渡航し、楕円cusp formの場合のp進Beilinson予想についての考察を始めた。さらに、津嶋貴弘氏とpでsupersingularな場合に、虚数乗法をもつ楕円曲線のp進ポリログの具体的な明示公式について研究し、Coleman関数としての表示を得た。昨年度に引き続き大槻玲氏はpがsupersingularなときに、虚2次体のHecke指標に付随するp進L関数の構成を研究し、特にKroneckerテータ函数からp進distributionを構成する方法を編み出した。萩原啓氏はKummer etale K群に関する研究を発展させた。また、中村健太郎氏はTrianguline表現のZariski稠密性の研究を行い、一般のp進体にZariski稠密性を証明することに成功した。これらの結果は現在論文に執筆中である。
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