平成25年度は、昨年まで雇用していた長谷川泰子氏の就職を受けて、大槻玲氏、高井勇輝氏、三浦崇氏、山本修司氏のポスドク4名の体制で研究を進めた。研究代表者は主に、G. Kings氏と共同で、Eisenstein類の研究を進めた。特に、Hilbert modular多様体のEisenstein類が、2つの基本的なコホモロジー類のカップ積で表されることを突き止めた。この結果は、Eisenstein類のHodge実現やp進実現を具体的に表示することができる可能性を示唆するものであり、この事実を発見できたことが、平成26年度から採択された科研費補助金・基盤研究(A)の研究へと繋がった。平成25年度中は事情によりKings氏と直接議論することができなかったが、予算を平成26年度に繰越し、4月と7月に共同研究を行い、これまでの成果について、お互いの認識を共有することができた。大槻玲氏は引き続きsupersingularな場合のHecke指標のp進L関数の研究を行った。特に、いままでの成果を、実際のp進Lを構成する論文と、正則とは限らない実解析的関数のp進的性質に関する2編のプレプリントにまとめた。当研究室の博士課程の学生である広常智輝氏は、導手がpで割る虚2次体のHecke指標についての成果を論文としてまとめ、出版した。高井氏は引き続き、代数体の相対類数の非加除性について成果を得た。三浦氏は引き続き、非巡回型のCM拡大のイデアル類群をFittingイデアルを用いて研究した。山本氏は、多重ゼータ関数の研究を進めた。
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