研究課題
今年度は、これまでに採取したコアを用いた解析および論文執筆により以下のような結果を得た。海洋堆積物については、特に東シナ海の深海堆積物コアを用いて、過去3万年間の海洋変動について明らかにすることができた。特に黒潮変動とモンスーンの関係が密接であることを明らかにした。一方、過去の気候変動の平均的状況を示すデータとして重要な海水準の復元も、メキシコ湾やオーストラリア北部など、旧氷床域からの距離がことなりシグナルの持つ意味が異なる複数地点のコアの解析から明らかにすることができた。磁気圏変動と地球表層環境変動との関係を考察する上で重要となる過去の地球磁場変動イベントについて、およそ12万年前に起こったとされているブレークイベントの位置を確認すべく、東南極氷床のドームふじ第2期コア中の、宇宙線照射生成核種である10Beを測定した。太陽活動の復元と気候変動の関わりについて明らかにするために、木材年輪の放射性炭素の1年ごとの測定を行った。東京大学の加速器の安定性が思わしくなかったため、加速器による測定部分は、オーストラリア国立大学にて行った。高分解能結合誘導プラズマ質量分析装置(ICP MS)を物品費にて購入し、立ち上げに成功した。実際にコア中に含まれる有孔虫やサンゴなど、炭酸塩試料の分析を行う。具体的には水温や塩分などの指標となるSrやMgそれにUなどの分析を行う装置であるが、既存のサンゴ試料の微量金属を、他研究室にて測定した試料を、同じように今回導入したICP-MSをもちいて測定した結果と比較したところ、10倍程度の高解像度での測定に成功し、水温の変動についても検出することができた。22年度の炭酸塩分析に大きな成果を得ることができる貴重な基礎実験結果であった。
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http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~yokoyama/