研究概要 |
生きた細胞内のタンパク質間相互作用を可視化する発光分子プローブを開発した.コメツキムシ由来の生物発光タンパク質(ルシフェラーゼ)の切断位置2ヵ所を,タンパク質の立体構造情報に基づき決定した.切断したルシフェラーゼのフラグメントを,3量体形成が知られているSmad1とSmad4タンパク質に連結した.生細胞内において,このプローブを連結したSmadタンパク質を発現した所,Smad1-Smad1-Smad4の複合体形成に伴う発光シグナルを観測することに成功した.Smad2とSmad4についても同様の実験を行い,セリン残基のリン酸化に伴うタンパク質間相互作用の検出に成功した,さらに,アフリカツメガエル卵の発生段階におけるSmads間相互作用を,リアルタイムに発光イメージングできることを実証した.(PLoS ONE, (2009)) コメツキムシ由来のルシフェラーゼについて,さらに切断位置の最適化を行った.切断位置を1アミノ酸ずつシフトしたルシフェラーゼフラグメントを作製し,半網羅的にスクリーニングを行った.タンパク質間相互作用に伴い,最大発光を示すフラグメントの組み合わせを決定した.この新たに同定したルシフェラーゼを用いて,GPCRとarrestinとの相互作用を,生細胞内でリアルタイムに検出できる評価系を確立した.96穴プレート上で,GPCRの化合物スクリーニングができること,単一細胞内におけるGPCR-arrestin相互作用のイメージングが可能であることを実証した.(Anal.Chem., (2010))
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